Casual Duel Consideration

遊戯王のカジュアル環境やデュエル動画についての考察記事を書いてます。

「自由度」と「妨害」の関係性

こんばんは、レオオオオオです。

いくつか更新予定の告知をしている記事の執筆が中々進まず公開出来ていない中で、それと特に関係のない記事を書くのは大変申し訳ないと思っておりますが、どうしてもブログ記事に纏めて皆様に見て頂きたい話題がございましたので、今回はそのお話をさせて頂きます。

 

発端は、以下のような意見を目にした事でした。

「最近の遊戯王はカードパワーの高いカードが多すぎて、制圧や1ターンキルが容易に出来てしまうので『返し合い』による楽しさが損なわれている」

何処で見かけたかが定かではないので、私の方で多少の要約をさせて頂いております。

また、本記事は上記の意見に対する批判、侮蔑等が目的ではないことをあらかじめお断りしておきます。

この意見について、私個人としては「言いたいことはなんとなく分かるが、正しくはない」と考えております。

 

というのも、カードパワーが高まれば高まるほど『突破』『返し』という行為自体は容易になるので、本来はこの意見とは逆にゲーム全体が「返し合いの応酬」になりやすくなっていくはずです。

ですので、「『返し合い』による楽しさが損なわれている」という問題には別の原因があるのではないか、という考えに至りました。

そしてそれを「相手に対する防御、妨害行為をどの程度デッキに組み込み、行うことができるか」という点に見出しました。

 

少々話がずれますが、遊戯王のプレイヤー、とりわけカジュアルをメインにしている方に遊戯王の魅力ついて尋ねると「自由度の高さ」を挙げられる方が多いと思います。

遊戯王は「デッキ枚数40枚~60枚」「同名カード上限3枚」「リミットレギュレーション」さえ順守すれば、あらゆるカードをデッキに入れる事ができます。

※厳密に言えばリミットレギュレーションは公認・公式大会以外では必ずしも守る必要はありませんが、ここでは割愛します。

それだけで言えば他のカードゲームも同様の構築は行えるでしょうが、遊戯王がそれらと決定的に異なる点は、いわゆる色・属性等のステータスに縛られることなく「回る」デッキが作れる、という所にあると思います。

他のカードゲームでは、カードA、カードB、カードCを組み合わせたデッキを作ろうとしても、コストの競合や色の制限により中々実戦レベルのデッキにならない、ということが少なくないですが、それらの概念が存在しない遊戯王は純粋に相性のいいカード同士の組み合わせを実戦の中で楽しむ事ができます。

少し表現を変えると、「やりたいことがそのままできる」ゲームだと言えるでしょう。

 

では、お互いのプレイヤーが「自分のやりたいこと」だけをやってゲームが進行した場合、どのようになるでしょうか。

お互いの手札の質、デッキの安定性、爆発力、相性等によって多少左右はされますが、「デッキ・コンボのパワーが高いほうが勝つ」ことは想像に難くないと思います。

では、パワーが低い方はただ自分の手札・引きが相手よりよくなることを祈って戦うしか無いのか、と言われれば当然それは違います。

そこで、「防御、妨害」という概念が登場します。

自分のフィールド、手札、墓地、デッキ、ライフポイントを相手の攻撃から守ったり、相手の展開・行動を阻害する事で、デッキパワーが劣る相手や相性に優れない相手と対等に戦える可能性が出てきます。

 

遊戯王がこれだけの自由度の高さを維持しながら長年多くのユーザーに愛されるゲームとして成り立っているのは、それだけ優秀な「防御・妨害カード」が多数存在するから、ということに他なりません。

これは「カウンター罠」という「防御・妨害専用のカード」が存在する事からも伺えます。

少々長くなりましたが、要約すれば「遊戯王の自由度の高さは様々なカード・状況に対応できる防御・妨害があってこそ成り立っている」ということです。

 

カジュアル環境において、この防御・妨害という行為は敬遠されがちです。

「純粋にデッキパワー同士のぶつかり合いがしたいから」「自分のデッキの動きを全て見せたいし、相手のデッキの動きも全て見たいから」等理由は様々あると思います。

ですが、「私は妨害が嫌いなのでお互い妨害は無しにしませんか」というわけにもいきません。

ではどうするのかといえば、「相手の妨害を未然に防ぐ」という行為が必要になります。

伏せカードを除去する《大嵐》《サイクロン》《ナイト・ショット》、手札・墓地誘発を封じる《メンタルドレイン》《ソウルドレイン》各種次元カード等が候補となるでしょうか。

勿論、それらを一切使わず相手の行動を全て受ける、というプレイスタイルを選択するのも自由です、それは自分と相談してどこまで使う・使わないを決めればいいと思います。

今までは「防御」と「妨害」をほぼ一緒くたに述べてきましたが、厳密に言えばこれも異なります。

《奈落の落とし穴》《強制脱出装置》《エフェクト・ヴェーラー》等を始めとした「妨害」は嫌いでも《和睦の使者》《速攻のかかし》《クリボー》等の「防御」は許容できる人も当然いるでしょう。

ただ、大切なのは「遊戯王というゲームと防御・妨害・対策という概念は切り離せない関係である」という事です。本当にそれらが嫌であれば遊戯王を辞める以外の道はほぼ存在しないと言っても過言ではないと思います。

 

では妨害札をデッキ入れたとして、次にそれをどのように使うのか、そもそも使うのか否か、という話が出現します。

「デッキに入れておいて使わないとはどういうことだ」とお思いになる方もいらっしゃるでしょうが、私は「妨害札をあえて使わない」という行為に対する私なりの意義、理由を持っているので、それについて少しお話させて頂きます。

 

例として、自分が手札に《エフェクト・ヴェーラー》を持っていて、相手が《召喚僧サモンプリースト》を召喚したとします。

通常なら《召喚僧サモンプリースト》の守備表示になるCIP効果、または魔法カードを捨てて発動する起動効果のどちらかに《エフェクト・ヴェーラー》を打つのが適正なプレイングであるでしょう。

ですが、ここであえて《エフェクト・ヴェーラー》を使用せずに相手に好き放題させてそのまま負けたとします。

当然、これはこのデュエル単体で見れば「舐めプレイ」とも捉えられる行為ですが、「同じデッキと何度か戦う」という視点から見るとまた違ってきます。

とりわけカジュアルにおいては、相手のデッキの内容・動きは予測することが難しく、先の《エフェクト・ヴェーラー》においても「いつ使うのが最も効果的か」を初見で見極めるのは相当困難なことだと思います。

そこで、1度相手にデッキを回させ、それによってデッキ内容・動きに関する情報を得る事で《エフェクト・ヴェーラー》を使う適正なタイミングを判断する材料とすることができます。

1回デュエルに敗れても、次戦以降同じような状況に出くわした時に勝てる可能性はグンと上がります。また、同様のカード、ギミックを搭載した相手と将来的に戦う場合にも同じことが言えます。「肉を切らせて骨を断つ」というのに少し近いかもしれません。

勿論これは私の持論ですので、どうしても持っている《エフェクト・ヴェーラー》を使わないプレイングは許せないという人もいると思いますが、「持っている妨害札を打たない=舐めプレイ」では必ずしもない、ということだけは是非ともご理解して頂きたいです。

 

私事ではございますが、私がストラクチャーデッキ「巨竜の復活」発売後頃に遊戯王を再開して今年で7年程が経過します。

再開後2年程の間は、私もいわゆる「ファンデッカス」と呼ばれるような思想を持っており、《奈落の落とし穴》と《オネスト》という2つのカードが本当に嫌いでした、それらが理由で遊戯王から離れそうになった事もございます。

ですが、私の尊敬する、とあるデュエル動画投稿者の方の御意見に触れ、考え方を改める事ができるようになりました。

《奈落の落とし穴》が嫌いであれば召喚前に《サイクロン》を使ったりセットカードがないうちに展開する、《オネスト》が嫌いであれば光属性モンスターとの戦闘を避ける等、嫌いなカードにもプレイングで対処できるレベルの弱点がある事もわかりました。

そんな私が心がけているのが「嫌いなカードを使ってみる」ことです。

遊戯王のカードはテキスト以上に複雑で、使う事で初めてわかる事・気付く事が必ずあります。

臭いものに蓋をする、というように嫌いなカードを遠ざけるのではなく、そのカードと真剣に向き合う事で見えてくるものもありますし、いずれそのカードを許容できるようになる事もあると思います。

その可能性を是非大切にしてほしい、という私の身勝手な願いです。

以前Twitterでも言及したことがありますが、「フリー」とも呼ばれるカジュアル環境であるからこそ、あらゆるカードが認められ、同じ土俵で戦うことができる場であってほしいと思っております。

 

重ねて申し上げますが、私は個人のプレイスタイルに言及するつもりはありません。

妨害札が好きな人、嫌いな人、使いたい人、使いたくない人がそれぞれいて然るべきだと思います。

ただ、遊戯王というゲームと防御・妨害という概念が切り離せないものである以上、自分なりにそれらとうまく折り合いをつけ、適正な関係を築きあげる事が出来れば、遊戯王はより一層楽しく、魅力に溢れたゲームになると思います。

この記事が、皆様方のデュエルライフを一層華やかなものとするきっかけとなることをお祈りしております。

それでは、本日はこれにて失礼致します。