Casual Duel Consideration

遊戯王のカジュアル環境やデュエル動画についての考察記事を書いてます。

エクシーズ召喚登場後のカジュアル環境の変遷 其の参

皆様こんばんは、レオオオオオです。

5月の記事「遊戯王をプレイする上での思想・プレイスタイル」及び「カジュアル・デュエルにおいて嫌われるカードとそうでないカードの違い」が本ブログの平均閲覧数を遥かに上回る反響を頂き、とても驚いております。

閲覧、拡散して頂いた皆様に感謝の意を表すと共に、今後とも一層の活動を続けていく所存でございますので、どうぞCasual Duel Considerationを宜しくお願い申し上げます。

 

さて、挨拶に割く文字数は程々にして本日の話題に入りたいと思います。

本記事は「エクシーズ召喚登場後のカジュアル環境の変遷 其の壱」及び「其の弐」の続きとなっておりますので、そちらと併せてご覧になって頂ければと思います。

エクシーズ召喚登場後のカジュアル環境の変遷 其の壱

エクシーズ召喚登場後のカジュアル環境の変遷 其の弐

 

また、本記事は3万文字弱の非常に長文となっておりますので、お時間がある時に間に休憩を挟んで読む等、お体の負担にならないようお気をつけ下さい。

文章構成技術の未熟さ故に適切な長さに纏め上げる事ができず申し訳ございません。

「其の壱」公開当初に予定していた期間より、完結までに遥かに長い時間を要してしまった事について、重ね重ねお詫び申し上げます。

 

■2013年1月4日 遊戯王5D’s 第5巻発売

2013年始に発売した漫画「遊戯王5D’s」の5巻の付属カードは、エクシーズモンスターが主流となったカジュアルで久しぶりにシンクロモンスターが話題を呼ぶ事となりました。

それがこちらの《閃こう竜 スターダスト》です。

f:id:leooooo_amemiya:20130107235440j:plain

《スターダスト・ドラゴン》と同様に破壊に対する耐性を持つこのカードですが、似ているようで差異は相当多いです。

・対象にした1枚のみ破壊から守る

・破壊効果自体は無効にならない

・フリーチェーンで効果を使用できる

・戦闘による破壊からも守る事ができる

・チェーンブロックを作らない破壊、破壊が確定していない破壊にも対応できる

・誘発効果のチェーンの積み順によって破壊効果に直接チェーンできない場合にも対応できる

・このカード自身がフィールドを離れない

・裏側表示のカードは守ることができない

・ダメージステップでは効果を使用できない

 

私が今思いついたものだけ列挙致しましたが、それでもこれだけの違いがあります。

特に目を引くのが「フリーチェーン」「戦闘破壊対応」「チェーンに乗らない破壊に対応」ですね。

フィールドに維持することで効果を最大限に発揮できる永続系カードとの相性に優れ、特に互いを守り合う事ができる《安全地帯》とのシナジーが注目されました。

効果破壊だけでなく戦闘破壊への耐性を付与できるため、既存のカードと違い《閃光の追放者》のようなモンスター維持にも高い効果を発揮してくれるのもポイントです。

【セルフ・バウンス】を始めとするロックカードを多用するデッキにおける新たなエースカードとして活躍が期待されました。

 

■2013年2月16日 LORD OF THE TACHYON GALAXY発売

f:id:leooooo_amemiya:20140527201123j:plain

2013年最初のエキスパンションがこちら。

地、水、炎と4属性の強化が続いてきた2013年度の最後を飾るこのパックでは、やはりというべきか風属性の強化が中心に行われました。

新規カテゴリとして、これまでに類を見ない「モンスタートークン」を生成、消費して戦う「幻獣機」、既存カテゴリからは数少ない風属性統一の「ハーピィ」らが登場、前者は手軽にアドバンテージを得られるトークンの特性を最大限に活用したデッキとして、後者は既存の「ハーピィ」関連カードとの組み合わせやランク4エクシーズとの相性に優れ、カード効果による除去を継続的に行えるデッキとして歩み始めました。

またパッケージを飾るのは「ギャラクシーアイズ」の名を持つ3体目のドラゴン族モンスター《No.107 銀河眼の時空竜》です。

ランク8最高攻撃力もさることながら、バトルフェイズに発動するモンスター効果無効化及びそれに追随するパンプアップ・連続攻撃を持ち、攻撃性能はかなり高いモンスターです。

しかし、連続攻撃を行うためには何らかの効果が発動した後にこのカードが生き残っている必要性があるため、《A・O・J カタストル》のような戦闘時に発動する強制誘発効果を持つモンスターを狙ったり、《禁じられた聖槍》による保護などの工夫が必要です。

また、《カゲトカゲ》との相性に優れる爬虫類万能サーチ《キングレムリン》、《緊急テレポート》等からレベル3~6として呼び出せる《調星師ライズベルト》、展開力に難のあった「マドルチェ」を救済する《マドルチェ・ホーットケーキ》、継続的な墓地肥やしを行える《星邪の神喰》、レベル4以下のモンスターを耐性を与えた上で蘇生する《ピンポイント・ガード》等の優秀なカードが多数登場します。

そして、今パックの目玉とも問題児とも言えるのが、トーナメント環境においても長らく頂点に君臨し続ける事となる「征竜」です。

f:id:leooooo_amemiya:20140527204142j:plain

ステータスの高さ、特殊召喚の容易さ、征竜同士のシナジーの高さ、属性サポートとしても有益な点など、トーナメント・カジュアルを問わず遊戯王に与えた影響は計り知れません。

このカードのために多くのデッキが生まれ、消えていったと言っても過言ではないのではないでしょうか。

そういう意味でも、以降の遊戯王環境を象徴する転機となったエキスパンションと言えるかもしれません。

 

■2013年3月1日 制限改訂

そんな激動のパック発売後の制限改訂です。

今回の変更は以下のとおり。(太字:規制強化、通常字:規制緩和

・禁止カード

《クリッター》《発条空母ゼンマイティ》

制限カード

《ゼンマイマジシャン》《一時休戦》《神の警告》

準制限カード

《ライオウ》月読命》《高等儀式術

・制限解除カード

《スポーア》《BF-月影のカルート》《ライトロード・サモナー ルミナス》《紫炎の狼煙》《マインドクラッシュ》

 

特に目を引くのが【ゼンマイ】の規制です。

《ゼンマイハンター》らを中心としたループなどで長らく環境入りし続けてきたこのデッキですが、海外からの《魔界発現世行きデスガイド》らの参入を機に規制を受けたという印象が強いでしょうか。

同じく《魔界発現世行きデスガイド》からリクルートされるモンスターの筆頭であった《クリッター》の禁止化からもそれが伺えます。

それ以外の規制強化は特殊勝利デッキなどでの時間稼ぎに多用される《一時休戦》、万能カウンター《神の警告》、2種のメタ効果で多くのデッキを封殺する《ライオウ》のみと、昨今の改定にしては余り大幅な規制が行われませんでした。

むしろ、環境の多様化、インフレにより規制が疑問視されていたカードのいくつかが緩和され、より様々なデッキが復権の機会を与えられた改定であるといえるでしょう。

 

■2013年3月16日 STARTER DECK2013発売

f:id:leooooo_amemiya:20140527205703j:plain

今年のスターターデッキは例年と少々趣が異なり、メインのデッキの他に拡張パックが付属するという形となりました。

パッケージを飾る新規カードは《No.39 希望皇ホープ》がランクアップした《CNo.39 希望皇ホープレイV》です。

通常のエクシーズ召喚をする意味は薄いものの、《No.39 希望皇ホープ》からランクアップによってエクシーズ召喚した際に得られる《No.61 ヴォルカザウルス》と同等の効果は強力で、ランク4を主体にするデッキには無理なく組み込めるため戦略の幅が広がります。

また、ランクアップに必要なカードとして《RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース》が登場。ランク4のエクシーズをあらゆるランク5の「CNo.」に変えることができますが、この時点ではまだCNo.の種類が少なく、特定の素材を指定する効果が中心であったため、上記の《CNo.39 希望皇ホープレイV》らに使用されるにとどまりました。

その他の新規カードとしては《ZW-荒鷲激神爪》《クレーンクレーン》《クロクロークロウ》《ガンバランサー》など、何れもエクシーズ召喚の補助として使用できるカードが中心となっており、特にレベル3モンスターを無制限に釣り上げられる《クレーンクレーン》はシンクロ召喚との相性にも優れ、《魔界発現世行きデスガイド》らと併せてレベル3モンスターを中心とするデッキの強力なサポートとなりました。

 

■2013年4月20日 JUDGMENT OF THE LIGHT、Vジャンプ2013年6月号発売

f:id:leooooo_amemiya:20140527214626j:plain

 

続いてのエキスパンション「JUDGMENT OF THE LIGHT」です。

前回までのパックで地、水、炎、風の4属性に関連したカテゴリが登場したため、闇、光に関するモンスターの登場も予想されていましたが、とりわけそのような事はありませんでした。

パッケージのモンスターは《CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー》です。

この辺りから段々と「希望皇ホープ」の名を持つエクシーズモンスターが増え、それに伴いサポートカードも「希望皇ホープと名のついた」という指定に変化していきます。

肝心の性能は先のストラクチャーデッキにて登場した《CNo.39 希望皇ホープレイV》の相互互換といった具合で、アドバンテージと安定したダメージを期待できるあちらに対し、こちらは攻撃時に相手の魔法・罠を封じる効果と、《オネスト》と同様の攻撃力吸収+モンスター効果無効効果を持ち、《アサルト・アーマー》による連続攻撃や装備魔法等による打点向上からの1ターンキル重視といえるでしょう。

また、《CNo.39 希望皇ホープレイV》と異なり、《No.39 希望皇ホープ》を素材として持たない状態でも攻撃力2800の「古代の機械」効果内蔵モンスターとしての運用もできるので、適当なランク4モンスターに《RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース》を使用しアタッカーに変換できるこちらのほうが《RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース》との相性はよいでしょう。

カテゴリとしては、罠カードである「落とし穴」に関連する能力を持つ遊戯王の歴史上でも極めて異例なモンスター群である「蟲惑魔」や、原作「遊☆戯☆王」のキャラクター「孔雀舞」が「ハーピィ」を使用した際に見せた、特定のモンスターを維持してサポートカードを駆使して戦う戦略を彷彿とさせる「武神」など、今までのどのカテゴリとも異なる運用を求められるカテゴリが複数登場しました。

またエキスパンションにおいて実に約2年ぶりとなるチューナー及びシンクロモンスターが収録され、「遊☆戯☆王ファイブディーズOCG」時代からのプレイヤーを沸き立てました。

シンクロモンスターはレベル3、4、5、6、11にそれぞれ「チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上」を素材とする、いわゆる「汎用シンクロ」が登場、特にレベル3とレベル11には初登場ということで、今までシンクロ素材として使用しにくかったレベル1やレベル8のモンスターに注目が集まります。

中でも強力なのが、レベル3の《霞鳥クラウソラス》、レベル5の《幻層の守護者アルマデス》、レベル11の《星態龍》の3種類です。

《霞鳥クラウソラス》は《A・O・J クラウソラス》のフレイバー・テキストにて言及されていたモンスターが遂にカード化されたもので、攻撃能力を持たないものの相手モンスター1体を1ターンの間、攻撃力0&効果無効と完全に無力化することができます。

《幻層の守護者アルマデス》は2300の攻撃力と戦闘時に相手の魔法、罠、モンスター効果の発動を封じる効果を持ち、リクルーター、リバース効果モンスター、手札誘発モンスター等相手の厄介な効果を無力化することができます。

また属性も光と非常に恵まれており、相手のカードを封じた上で一方的に《オネスト》等を使用して有無を言わさず相手を倒す事が可能です。

レベル11の《星態龍》は、OCG初のレベル11シンクロモンスターで、3200という高い攻撃力に加え、《神の警告》《奈落の落とし穴》《聖なるバリア-ミラーフォース-》などの多くの除去に耐性を持つため安定したアタッカーとして運用できます。

またチューナーには《ジャンク・シンクロン》の流れを汲むモンスターの《カメンレオン》が登場、2種類の誓約を持ちながら、釣り上げる対象のモンスターの幅が既存のものより非常に多く、またシンクロだけでなくランク4のエクシーズ召喚にも利用することができ、特に前回登場した《キングレムリン》との相性にも優れるなど様々な利点が存在し、シンクロモンスターの復権を後押しします。

その他、フィールドのモンスターを種族・属性が同一でレベルの1つ高いデッキのモンスターと入れ替える《トランスターン》、《閃こう竜 スターダスト》に続くカード保護能力を備えたランク4の《No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル》などのカードが登場、どれも一見した印象を超える活用方法が存在し、現在においてもその研究はとどまることを知りません。

どちらかと言えばエクシーズモンスターが幅を利かせていたカジュアル環境は、このパック登場を堺にエクシーズモンスターとシンクロモンスターが絶妙なバランスで混在する環境へと変化していきます。

速攻魔法《黒白の波動》の登場はそれを予見していたのかもしれません。

 

f:id:leooooo_amemiya:20140604115525j:plain

また、同日発売したVジャンプには、「デーモン」の名を持つレベル6のモンスター《デーモンの将星》が登場。JUDGMENT OF THE LIGHTでは「デーモン」のサポートカードが久方ぶりに登場しましたが、このカードもそれらのカードと強いシナジーを発揮し、ランク6のエクシーズ召喚のサポートも行えるため、「デーモン」というカテゴリに新しい戦い方を提供しました。

 

■2013年5月18日 EXTRA PACK -SWORD OF KNIGHTS-発売

f:id:leooooo_amemiya:20140604120702j:plain

今年のEXTRA PACKは前回のEXTRA PACK 2012から約7ヶ月という例年より大変早い時期に登場しました。

タイトルも「SWORD OF KINGHTS」と一新された今回のEXTRA PACKでは、待望の海外産カテゴリ「聖騎士」を始めとしたカードが多数来日しました。

「聖騎士」は「聖剣」の名を持つ戦士族専用の装備魔法カードとの連携でアドバンテージを取る、これまでの「ドラグニティ」「甲虫装機」らと少々異なる久方ぶりの「装備魔法カード」関連カテゴリです。

墓地から装備魔法を装備する能力を持つカードが多数存在し、装備魔法軸デッキの弱点であるディスアドバンテージの発生しやすさを克服したデッキとしてカジュアルでも注目を集めました。

また、《岩投げアタック》で墓地へ送る新たな選択肢となりうる《リバイバルゴーレム》、海竜族を最大3回蘇生させることができる《フラッピィ》、墓地発動効果メタを備えるランク4《深淵に潜む者》、条件を満たせばフリーチェーンで手札から出現する強固な壁《機動要犀 トリケライナー》など、どちらかといえばデッキの主軸となるよりもサポートやアクセントとしての役割を持つことができるカードが多数登場し、いくつかのデッキの基盤をより強固にすることに貢献したパックでありました。

その他、昨年の世界大会の入賞賞品である《伝説の白き龍》《伝説の闇の魔導師》のレプリカカードが収録され、カードコレクター達を沸かせました。

 

■2013/7/20 SHADOW SPECTERS発売

f:id:leooooo_amemiya:20140608192835j:plain

 

続いては3つ目のエキスパンション「SHADOW SPECTERS」です。

今回の目玉はCM映像においても大きく取り上げられた新カテゴリ「ゴーストリック」でしょうか。

「サイクル・リバース」と呼ばれる、1ターンに一度裏側守備表示にできる共通効果に加え、裏側守備表示に関連する効果を持つこのカテゴリは、そのトリッキーな戦い方からカジュアル勢の目を引く存在でした。

カテゴリとしては珍しく手札誘発の効果を持ったモンスターが多く、相手の攻撃を防ぎながら継続して場にモンスターを維持することができるのも特徴です。

そして同カテゴリのエクシーズモンスターとして、ランク3の《ゴーストリック・アルカード》が登場。

エクシーズモンスター全体で見ても貴重な魔法・罠に干渉できる能力に加え、他の「ゴーストリック」及び裏側守備表示モンスターへの攻撃を封じる効果と、墓地に送らた場合「ゴーストリック」カード1枚をサルベージする能力を持ち、ゴーストリックのエースとしても、ランク3のバック処理要員としても申し分ないモンスターです。

また、ランク8エクシーズには高い攻撃力と非常に優秀なモンスター効果でエースと呼ぶに相応しいモンスター《神竜騎士フェルグラント》が登場。

これまで除去や戦闘に秀でながら耐性という面に難のあったランク8エクシーズはこのカードの登場で更に強力さを増していきます。

また、前回のJUDGMENT OF THE LIGHTに引き続き、チューナーモンスターとシンクロモンスターが続投。

チューナーには闇属性、ドラゴン族、通常モンスター、攻撃力0と多方面のサポートに恵まれたレベル6の《ラブラドライドラゴン》が登場。

デッキの主軸としての性能のみならず、既存のドラゴン族デッキ、とりわけ【聖刻】においては《エレキテルドラゴン》に並ぶリクルート対象として、その能力を遺憾なく発揮します。

シンクロモンスターには、制限カードとなった《フォーミュラ・シンクロン》に次ぐレベル2のシンクロ・チューナー《焔紫竜ピュラリス》と、汎用レベル9の《鬼岩城》が登場。

《焔紫竜ピュラリス》は先のモンスターと異なりカードアドバンテージに繋がる能力や相手ターンにシンクロを行える能力は持たないものの、エクストラデッキに1枚しか投入できない《フォーミュラ・シンクロン》の穴を埋めるモンスターとしての活躍が期待されます。

《鬼岩城》は能力自体は微弱なパンプアップですが、その真価はレベル9の汎用シンクロという点と、攻撃力3000の大台を単体で突破できるという点です。

今までのシンクロモンスターでは対処の難しかった、高攻撃力・効果耐性を持つモンスターへの対抗策として期待がかかります。

また、スピリットにも久しぶりに新モンスターが登場。

シンクロ・エクシーズモンスターに対する強烈な除去であるバウンスの能力を備えた《羅刹》と、デッキのあらゆるスピリットをサーチすることができる《荒魂》の2体です。

どちらもスピリットの毎ターン手札に戻る能力によって、自分のターン毎に1回ずつ能力を使用することができ、継続的なアドバンテージ源として申し分ないモンスターだと言えます。

その他、サイキック族の新モンスターとして、スペルスピード2のレベル変動能力を持つ《調星師ライズベルト》が登場。

前回に引き続き、シンクロ・エクシーズ双方の多様化を後押しするパックでありました。

 

■2013年8月2日 遊戯王5D's第6巻、遊戯王ZEXAL第5巻発売

f:id:leooooo_amemiya:20140612205902j:plainf:id:leooooo_amemiya:20130808214954j:plain

 

漫画「遊戯王5D's」及び「遊戯王ZEXAL」からは、漫画登場のモンスター《えん魔竜 レッド・デーモン》《No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車》が登場。

《えん魔竜 レッド・デーモン》はレベル8シンクロモンスター初の全体除去効果を持ち、劣勢時の切り返しやフィニッシャーにうってつけです。

効果を使用すると自身以外は攻撃できなくなるため、優勢時には余り仕事はないでしょうが、「デーモン」の名を持つため《カメンレオン》と《デーモンの騎兵》からシンクロ召喚できる【デーモン】では3000の攻撃力を存分に振るってくれるでしょう。

 

No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車》はランク6としては攻撃力は控えめであるものの、1度に2枚のカードを破壊できる、こちらも突破力の高いモンスターです。

それ故か、効果を使用した場合、相手に与える戦闘ダメージが半分になるデメリットはありますが、享受できるメリットを考慮すれば大きなデメリットではないので、気兼ねなく使用することができるでしょう。

効果を使用するのに素材を2つ消費するため、役割を果たした後は《迅雷の騎士ガイアドラグーン》のエクシーズ素材にするのにも丁度いいですね。

 

■2013年8月10日 コレクターズパック-ZEXAL編-発売

f:id:leooooo_amemiya:20140608204633j:plain

 

13年夏には「コレクターズパック」という新たなパックシリーズが登場。

その第一弾はZEXAL編ということで、アニメ及び漫画「遊戯王ZEXAL」にて登場したカードが多数収録・再録されました。

中でも目立つのが、「CX」の名を持つモンスター達でしょうか。

《RUM-バリアンズ・フォース》からエクシーズ召喚されるモンスターで、特定のモンスターがエクシーズ素材となっている場合に様々な効果を使用することができます。

特に、前パックの《神竜騎士フェルグラント》から出すことができ、高攻撃力・素材を必要としない対象耐性、エクシーズモンスターが素材の場合に使えるドロー&バーン効果の三拍子が揃った《CX 熱血指導神アルティメットレーナー》は召喚の手間に見合う一際強力なモンスターだといえるでしょう。

CX以外にも、ランク7汎用で強力な耐性に加えて追加除去までも行える《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》や、3体の素材を要求するものの、相手にダメージを与える事に特化した《No.54 反骨の闘士ライオンハート》、通常モンスターとの親和性に優れた《プリンセス・コロン》、フリーチェーンでモンスター1体に強力な耐性を与える《機装天使エンジネル》等の優秀なエクシーズモンスターが登場しました。

エクシーズモンスター以外では、アニメ登場カテゴリの「先史遺産」「ギミック・パペット」「H・C」の新規カードや、前述の《プリンセス・コロン》に関連したモンスターの《おもちゃ箱》、「No.」にアニメさながらの耐性を付与する《ナンバーズ・ウォール》等が登場。

また、再録枠に《ブリキンギョ》《アイアンコール》《No.15 ギミック・パペット-ジャイアントキラー》などのエクシーズに関連した絶版カードが収録される嬉しい一面も。

全体的にはアニメにて登場した概念である「ランクアップ」を浸透させ、エクシーズの定着した環境に新たな風を吹き込む試みが行われたパックであったといえるでしょうか。

 

■2013年9月1日 リミットレギュレーション更新

急に聞き慣れない単語が登場しましたが、内容は以前の禁止・制限改定と同様です。

今回から新たにリミットレギュレーションという名称がつき、それに伴って公認店舗にて開かれる公認大会にいくつか新しい分類が登場しました。

中でも異彩を放つのが、禁止・制限カードの概念を全て無視してデッキを構築し戦える「ノーリミットデュエル」です。

《処刑人-マキュラ》《イレカエル》などを利用した往年の1ターンキルや、《強欲な壺》《いたずら好きな双子悪魔》等の強力カードが使いたい放題となるこの新たなデュエルは、どのようなゲーム展開を披露してくれるのか期待がかかります。

これに伴い、公認大会における「ノーリミットデュエル以外」の大会において、外国語版の遊戯王カード、いわゆる「TCG」と呼ばれるものなどが使用不可となりました。

テキスト確認の不具合等を懸念した措置であると言われており、カジュアルとの直接的な関係はないですが、カジュアルでも外国語版を使用する場合のテキスト確認はしっかりできるようにしておきべきでしょう。

また、以降のリミットレギュレーションの改定は毎年2月、4月、7月、11月の4回行われるように変更され、環境の固定化や強力カードに即座に対応できるようにしようとするKONAMIの努力が伺えます。

因みにこの新しい改訂時期は、日本代表選考会予選大会および世界大会に合わせて設定されているそうですので、大会環境にどのような影響を与えるかも注目されますね。

というわけで、今回のリミットレギュレーション更新内容を見ていきましょう。

・禁止カード

《水征竜-ストリーム》《地征竜-リアクタン》《炎征竜-バーナー》《風征竜-ライトニング》《魔導書の神判》

制限カード

《A・ジェネクス・バードマン》《ゼンマイシャーク》《No.11 ビッグ・アイ》《水精鱗-ディニクアビス》《立炎星-トウケイ》《超再生能力》《霞の谷の神風》《アビスフィアー》氷結界の龍 トリシューラ

準制限カード

《炎舞-「天キ」》《カオス・ソーサラー》《剣闘獣ベストロウリィ》《N・グラン・モール》《冥府の使者ゴーズ》《黒い旋風》

・制限解除カード

《ゼンマイマジシャン》《月読命》《E-エマージェンシーコール》《高等儀式術》《強欲で謙虚な壺》《スケープ・ゴート》《名推理》《聖なるバリア-ミラーフォース-》

 

前改定とはうってかわり、大規模な規制が行われました。

特に【征竜】と【魔導書】の強さを支えていたカード5枚が一気に禁止化、これにより【魔導書】は【征竜】と2分していた環境トップの座を失う事となります。

また《炎征竜-バーナー》《風征竜-ライトニング》は登場から半年を待たず禁止カード指定を受け、《ダーク・ダイブ・ボンバー》以来の最短記録更新を打ち立てました。

それら以外にも【征竜】はアドバンテージ源となるカードを2枚制限指定され、デッキパワーを大きく落とすことになります。

他に【炎星】【水精燐】【神風ワンキル】の主要パーツも規制強化されました。

特に《A・ジェネクス・バードマン》と《霞の谷の神風》の2枚は主にカジュアル環境で使用される事が多いカードであったため、多くのデッキが崩壊・ギミック変更を余儀なくされる大変珍しい事態に。

一方で《氷結界の龍 トリシューラ》が制限に緩和、エクシーズの多様化に伴い、以前より召喚そのものの難易度が上がったのが原因でしょうか。

その他、環境の遷移により規制が疑問視されていた《N・グラン・モール》《カオス・ソーサラー》《剣闘獣ベストロウリィ》《黒い旋風》らと、高打点・除去の増加に伴うカードパワーの低下とビートダウン系1ショットキルの抑止力として《冥府の使者ゴーズ》が準制限に緩和。

いずれもカジュアルにおけるカードパワーの高さは健在であり、先の制限カードと併せどのような環境の変化があるかに期待がかかりました。

規制解除は《ゼンマイシャーク》と入れ替わる形となった《ゼンマイマジシャン》、前改定に引き続く形で解除に至った《月読命》と《高等儀式術》、アライブHEROの減少で不必要と認識されたのか《E-エマージェンシーコール》、特殊召喚多用環境によって不要と判断されることも多かった《強欲で謙虚な壺》、此方も恐らくワンショットキル対策である《スケープ・ゴート》、【推理ゲート】のパーツであった《名推理》、かねてより「攻撃宣言反応」そのものの遅さを指摘されていた《聖なるバリア-ミラーフォース-》と、こちらも結構な数に登ります。

大会環境での活躍が見込みにくくなったカードは得てしてカジュアル環境に流れ込むものであるため、今回の大規模な緩和はカジュアル環境を大きく変化させうるものでした。

全体的に見て、大会・カジュアル双方に大きな影響を及ぼす大規模な改定でした。

 

■2013年9月13日 デュエリストパック-遊馬編2 ゴゴゴ&ドドド-発売

f:id:leooooo_amemiya:20140610232744j:plain

今年もデュエリストパックの発売時期となりました。

今回は遊馬編2ということですが、「ゴゴゴ&ドドド」の副題の通り遊馬の使用カテゴリのうち「ゴゴゴ」と「ドドド」の新規カードが多数収録されました。

「ゴゴゴ」の新規カードは特殊召喚モンスターの《ゴゴゴゴーレム-GF》です。

「ゴゴゴ」をリリースして特殊召喚でき、攻撃力がリリースしたモンスターの2倍となる効果、与える戦闘ダメージが半分になるデメリット効果、攻撃力を1500下げてフィールドのモンスター効果の発動を無効にする効果の3つを併せ持ちます。

モンスターの平均攻撃力が高く、墓地から「ゴゴゴ」を展開することに長けるカテゴリの「ゴゴゴ」では、手軽に高攻撃力のモンスターを出すことができるため、エクシーズでは突破しづらいモンスター相手に有効です。

一方の「ドドド」には《ドドドウィッチ》《ドドドガッサー》が登場。

《ドドドウィッチ》は手札の「ドドド」を展開することができ、単純なエクシーズの他に《ドドドドライバー》の効果の発動条件を満たしたり等、展開力に欠ける「ドドド」にとっては有り難い存在です。

《ドドドガッサー》は遊馬の使用カード全体で見ても珍しい最上級モンスターで、リバース時にフィールドのモンスター2体を破壊する効果と、反転召喚時に攻撃力が3500アップする効果を持ちます。

最上級モンスターながらセットしなければならないため少々使い勝手は悪いと言わざるを得ませんが、そのぶん効果は強力です。

問題の展開も先の《ドドドウィッチ》に加え、《浅すぎた墓穴》《バースト・リバース》等が存在するため、見た目ほど困難ではないでしょう。

また、元々の攻撃力は0のため《デブリ・ドラゴン》で蘇生させることも可能です。

そのままではシンクロ召喚できるモンスターはいませんが、《月の書》で裏側守備表示にしたり、《反転世界》を用いて《デブリ・ドラゴン》共々アタッカーとして活用する等、応用力は決して低くないカードです。

その他の主要な新規カードとして、直接攻撃に反応して手札から特殊召喚できるレベル8モンスターの《護封剣の剣士》が登場。

攻撃力2400以下の攻撃を止めるだけにとどまらず、2400未満であれば破壊することができるため、低攻撃力でビートするデッキに対しては特に有効です。《ラヴァルバル・チェイン》《キングレムリン》等の放置したくないエクシーズ等を破壊することができれば美味しいですね。

ただ、守備力2400は現環境では突破するのも容易なので過信は禁物です。

また、エクシーズ素材となった場合にターン1回の戦闘耐性を持たせる効果もあります。

効果の優秀な《神竜騎士フェルグラント》や、攻撃力の低さに難のある《森羅の守神 アルセイ》等をエクシーズ召喚できれば恩恵は大きいでしょう。

《紋章獣ベルナーズ・ファルコン》等でレベルを変更すれば、ランク8以外でも相性のいいエクシーズモンスターを召喚できるので狙う価値はそこそこありそうです。

このカードの存在によって、「エクシーズ召喚をする前に合計攻撃力の高い素材2体で直接攻撃する」というプレイングが必ずしも正しいと言えなくなるという点にも気を配りたいですね。

今回のように既存カテゴリ強化が中心のパックではカジュアル環境に大きな変化は余り見られませんが、主人公の使用カードということもあり、今後にも期待がかかる内容でありました。

 

■2013年10月19日 デュエリストパック神代兄弟編発売

f:id:leooooo_amemiya:20140611111724j:plain

先の遊馬編2から一月ばかり間を置いて、今度は神代凌牙と神代璃緒の2人のカードを収録したデュエリストパックが登場しました。

一番の注目は「FA」の名を持ち、特定のエクシーズモンスターをエクシーズ素材にできる効果を持つエクシーズモンスターです。

《FA-ブラック・レイ・ランサー》は、素材がなくなった水属性ランク3の上に重ねて召喚することができます。

相性の良いカードの筆頭はやはりエクシーズモンスターを直接展開できる《バハムート・シャーク》でしょう。

これまではエクシーズモンスターを特殊召喚しても素材がないため単にモンスター数の水増しにしかならず、効果を使用すると自身は戦闘が行えなくなるため戦闘力の強化とも言えない状態でしたが、展開したエクシーズモンスターを有効に活用することができます。

また、勿論単純に役目を終えた水属性ランク3を変換することもできますが、場持ちを期待できる水属性・ランク3は多くなく、少々保険的な使い方になります。

素材が自動的に減り、相手に放置される事も少なくない《No.30 破滅のアシッドゴーレム》を素材にすることができないのは少々惜しまれる点です。

自身の効果は打点が素材×200上昇する効果、素材全てを身代わりにする破壊耐性、戦闘破壊をトリガーとしたバック破壊、の3つです。

基本的に素材が1つの状態で場に居ることになりますが、素材の数を参照するのが打点上昇のみであるため大きなデメリットとならないのは嬉しいところです。

むしろ素の条件が難易度に対してリターンが少ないため、素出しすることはほとんどないでしょう。

もう一枚は水属性・ランク5に重ねることができる《FA-クリスタル・ゼロ・ランサー》です。

汎用の水属性・ランク5は現状《No.19 フリーザードン》しかおりませんが、エクストラデッキの枠を割いてでも投入する価値はあります。

自身の効果は素材×500打点が上昇する効果、素材1つを身代わりにする破壊耐性、素材1つを消費して相手場の全てのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする効果の3つです。

先の《FA-ブラック・レイ・ランサー》と違い素材を持ったエクシーズモンスターを素材にできるため、前述の《No.19 フリーザードン》を使用して出した場合攻撃力はエクシーズモンスターとしては破格の3700まで上昇します。

当然他の効果を使用すると打点が500ずつ下がることになりますが、破壊耐性と無効化を一度ずつ使用したとしても打点は2700であり、レベル5×2から出てくるモンスターとしては十分高い数値です。

破壊耐性についてはもはや言及する事もあまりないですが、《激流葬》や《聖なるバリア-ミラーフォース-》を受けても攻撃力3200を維持したまま攻撃できるのは言うまでもなく強力です。

最後の無効化は既に場に居る表側表示モンスターにしか適用されませんが、時折見られる破壊耐性などを無効にできるため、あって損はない効果です。

対象を取らず全てのモンスターの効果を無効にできるため、《ナチュル・ビースト》《スターダスト・ドラゴン》のような場を固めるモンスター複数を立てられても切り返せる可能性があるのは大きいでしょう。

その他、《サイレント・アングラー》《ダブルフィン・シャーク》《セイバーシャーク》等のエクシーズ召喚を補佐する水属性モンスターが多数登場しました。

後者2枚は水属性以外を特殊召喚できなくなるデメリットを持つため、エクシーズ召喚できるカードはある程度限られるものの、同パックで登場した水属性縛りを持つエクシーズモンスター等を出すサポートとしては十分な性能であります。

強力なカードが多数存在する水属性を更に後押しするパックだったと言えます。

 

■2013年11月1日 リミットレギュレーション改定

9月の改定からわずか2ヶ月でリミットレギュレーションの改定がやって来ました。

今まで禁止・制限の改定は半年に一度のお祭り状態だったため、あまりの早さに慣れない方も多かったと記憶しています。

そういうわけで今回のリミットレギュレーション内容です。

・禁止カード

変更なし

制限カード

変更なし

準制限カード

変更なし

・制限解除カード

変更なし

 

完全に茶番でした、失礼しました。

前改定から日も浅く、環境の変化も特に見られなかったので当然といえば当然でしょうか。

環境では未だ【征竜】が隆盛を誇っていたため、それらの更なる規制などが噂されてはいましたが、今回は見送られたようです。

 

■2013年11月16日 LEGACY OF THE VALIAN発売

f:id:leooooo_amemiya:20140611122234j:plain

 

情報公開当初から話題沸騰した2013年3つ目のエキスパンション「LEGACY OF THE VALIANT」の登場です。

注目は何といっても《No.101 S・H・Ark Knight》《CNo.101 S・H・Dark Knight》《励輝士 ヴェルズビュート》の三種類のエクシーズモンスターでしょう。

《No.101 S・H・Ark Knight》《励輝士 ヴェルズビュート》は共にランク4汎用でありながら強力な除去効果を発揮します。

レベル4モンスターは特に展開が容易であるため、言うまでもなく様々なエクストラデッキに投入することができるこれらのカードは需要の高さ故にシングル価格も昨今のエキスパンションのものとは思えないくらいの上昇を見せました。

当然カジュアルに与えた影響力も大変大きく、相手がレベル4モンスターを出しただけでこれらがエクストラデッキに投入されているのを想定したプレイングが必要となり、今までの常識を大きく覆しました。

また、《No.101 S・H・Ark Knight》の上位モンスターである《CNo.101 S・H・Dark Knight》も大きな注目を集めました。

その理由は、《No.101 S・H・Ark Knight》の除去能力を強化した能力を持ちながら、その発動に《No.101 S・H・Ark Knight》が必要ないという点でしょう。

ランク5の「CNo.」であるこのカードは適当なランク4モンスターに《RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース》を使うことでエクシーズ召喚できるため、《ラヴァルバル・チェイン》《ダイガスタ・エメラル》のような打点が低く場持ちを期待できないランク4モンスターの効果を一度使用した後に攻撃力2800の単体除去効果持ちに変換することができます。

また、《No.101 S・H・Ark Knight》を参照する自己蘇生能力も、墓地に存在しているだけという緩い条件である上、このモンスターを出せるデッキであれば《No.101 S・H・Ark Knight》の召喚も問題なく行えるであろう事から非常に強力です。

この他にもう一体、《RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース》から出す有力モンスターとして《CNo.69 紋章死神カオス・オブ・アームズ》が登場。

こちらの見るべき点は4000という高打点です。つまり、ランク4に《RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース》を使うだけで上記の《CNo.101 S・H・Dark Knight》かこちらを状況に併せて呼び出すことができ、これら4種の登場は他のランクより頭ひとつ抜けた汎用性であったランク4の優位性を決定的なものとしました。

エクシーズモンスター以外にも注目するべき点は多いです。

新規カテゴリとしては「森羅」が登場。植物族モンスターで構成されたカテゴリであり、「デッキの上からカードをめくって植物族を墓地へ送る」効果と「デッキからめくられて墓地へ送られた時」に誘発する効果を併せ持つ一風変わったカテゴリです。

「めくる」という動作が必要なため、既存のカードで相性のいいカードが少ないのがネックではありますが、植物族の展開力の高さが乗ることで、そのパワーは既存のカテゴリにも引けを取りません。

そして、今回から「ワールドプレミア」と題して日本版と韓国版で異なるカードが収録される特別枠が登場しました。

今回これに当てはまるのが、《先史遺産ネブラ・ディスク》《No.36 先史遺産-超機関フォーク=ヒューク》《紋章獣アンフィスバエナ》《No.18 紋章祖プレイン・コート》《昇華する紋章》の5種です。

どれも既存の「先史遺産」「紋章獣」に欠けていた要素を埋める性能を持ち、両カテゴリを大会環境で戦っていけるほどのデッキパワーを持つまでに押し上げました。

また、新たな「RUM」として、今までのものとは趣が異なる《RUM-アストラル・フォース》が登場。

こちらは「CX」や「CNo.」に関する効果を持たず、エクシーズモンスターを特定条件のエクシーズモンスターに変換するといった能力です。

対応するカードは意外に多く、今まで素材の数や縛りに悩まされていたカードがこれから出すことができるようになり、エクストラデッキ多様性が大幅に向上しました。

シンクロモンスターには新たに汎用レベル10の《神樹の守護獣-牙王》が登場。

3100という高い打点と、「コントローラーのメインフェイズ2」以外では相手の効果の対象にならないという強力な耐性を持ち、対象に取らない除去または3200以上の攻撃力を出すポテンシャルをデッキに準備しておかなければ簡単に手詰まりとなってしまう性能です。

攻撃力3000以上が少なく、対象を取る単体除去が主流のエクシーズモンスターでは特に突破するのが難しいモンスターであるため、レアリティは「レア」でありながらもカジュアル環境に与えた影響はこちらも計り知れません。

罠カードからは「墓地から除外して発動できる」効果を持つ《スキル・プリズナー》が久々に登場。

「このカードの効果対象としたカードを対象に含む相手のモンスター効果」を全て無効にするという、少々ややこしいながら大変強力な効果を持ちます。

今パックで登場した《No.101 S・H・Ark Knight》を始めとした対象を取る除去だけでなく、今まで対応が難しかった《エフェクト・ヴェーラー》《魔轟神獣キャシー》などの手札・墓地誘発も無効にできる、今までの妨害札とは違った役割を持てるカードです。

フィールドと墓地で2回同じ効果を使用できるカードですが、類似カードの《ブレイクスルー・スキル》とは異なり墓地効果も相手ターンで使用することができます。

これにより《サイクロン》等で除去された場合のケアは勿論、互いのターンで自分のカードを対象に取れるという点に着目して《聖刻龍-ドラゴンヌート》《青き眼の乙女》などとのコンボが考案されるなど、妨害札としては革新的なカードでした。

その他、モンスター同士の戦闘に手札から干渉できる新たな「クリボー」枠の《虹クリボー》、「スピリット」の貴重な展開補助《和魂》、「ゴーストリック」のトリッキーな動きを更に後押しする《ゴーストリック・マリー》《ゴーストリック・ロールシフト》《ゴーストリック・デュラハン》等のカードが登場。

これまで「対策」という概念が敬遠されがちだったカジュアル環境ですが、今回のパックの登場は対策の重要性が浸透し始めるきっかけとなり得るものでした。

 

■2013年12月21日 ジャンプフェスタ2014開催

年末恒例の ジャンプフェスタの開催となりました。

今年のプロモーションカードの注目は、新たに登場したレベル9の汎用シンクロモンスター《浮鵺城》でしょうか。

シンクロ召喚時に墓地のレベル9モンスターを蘇生させることができ、今までレベル変動効果なしにエクシーズ召喚するのが難しかったランク9へのアクセスが容易になりました。

蘇生対象となるレベル9モンスター自体の総数が少ないため、それも他のレベル9シンクロで賄うのが一番手っ取り早いでしょう。

候補としては汎用シンクロの《鬼岩城》、皆大好き《氷結界の龍 トリシューラ》、大量展開の難易度低下やエクシーズモンスターの普及で未だ強力さは健在の《ミスト・ウォーム》、比較的緩いシンクロ素材指定に加え自身をリリースすることで相手の手札を削りながら蘇生対象を用意できる《XX-セイバー ガトムズ》などでしょう。

 

また、PREMIUM PACK16の先行販売も行われました。

今回は収録カードの総数が20と例年の倍になり、また1パックにつき4枚入り150円でレアリティがノーマルとシークレットの2種類存在するという大きな仕様変更が行われました。

こちらで特に注目を集めたのが《魔王龍 ベエルゼ》です。

闇属性チューナーという緩い素材指定のレベル8シンクロモンスターで、戦闘及びカード効果による破壊への耐性、攻守共に3000というステータス、自身の戦闘または相手のカード効果ダメージをトリガーとする打点上昇と、どれをとっても強力無比なシンクロモンスターです。

その圧倒的な制圧力の高さで登場と同時にカジュアル環境の新たな脅威として認識されました。《No.101 S・H・Ark Knight》《氷結界の龍 トリシューラ》を筆頭とした破壊を介さない除去が弱点ではあるものの、破壊耐性をいい事に自ら《激流葬》や《つり天井》を使用できるため、モンスター効果による除去への対策は容易であると言えます。

また、高ランクエクシーズを補佐する新たな「RUM」《RUM-アージェント・カオス・フォース》が登場。

ランク5以上のエクシーズモンスターをランクが1高い「CX」または「CNo.」にチェンジする効果と、デュエル中に1度のみではありますが、ランク5以上のエクシーズモンスターが自分の場に特殊召喚された時に墓地からサルベージできる効果を持ちます。

他の「RUM」との最大の差異は、元となるエクシーズモンスターの種族・属性等に一切左右されることなくランクアップを行える点にあります。

《CX 熱血指導神アルティメットレーナー》等の素材指定が緩いモンスターや、《CX 風紀大宮司サイモン》等の特定の素材を必要とせず効果の一部または全部を享受できるモンスターにとってはまさに朗報です。

墓地からサルベージする効果も、1枚で2度使えるというだけでなく《召喚僧サモンプリースト》《カードガンナー》等で墓地へ送っても1回は使えるため、リカバリーという意味でも強力です。

新たな「RUM」の登場にあわせて「CNo.」には5種類のカードが登場。

中でもランク9の《CNo.15 ギミック・パペット-シリアルキラー》は、特定の素材を一切必要とせずに除去+バーンを使用できる大変強力なモンスターです。

先の《RUM-アージェント・カオス・フォース》を使用すればあらゆるランク8モンスターから化けることができるため、フィニッシャーとしての能力は申し分ありません。

《CNo.40 ギミック・パペット-デビルズ・ストリングス》は、エクシーズ召喚時の全体除去+バーン+ドローを搭載します。

効果の都合上、《No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス》を経由することが前提となるものの、劣勢時の切り返しとしては最高峰の効果であると言えるでしょう。

また久方ぶりに登場する特殊勝利条件を持つ《CNo.88 ギミック・パペット-ディザスター・レオ》、相手モンスターを装備する効果と、相手ライフを100にする脅威の効果を持つ《CNo.6 先史遺産カオス・アトランタル》、相手モンスターをエクシーズ素材として吸収し、素材の数に応じたバーン効果を持つ《CNo.9 天蓋妖星カオス・ダイソン・スフィア》らが登場。

どれもアニメ「遊戯王ZEXAL」の人気キャラクターが使用したカードということもあり、アニメ効果を踏襲しつつOCG向けにほどよく調整が行われたこれらはKONAMIの熱いファンサービスと言うべきでしょうか。

それ以外には《俊足のギラザウルス》を思わせる《俊足なカバ バリキテリウム》、「ゴーレム」系統の効果を踏襲しながらも少々変わった能力を持つ《サイレント・ウォビー》、アンデット×2という緩い素材指定に加え、高い攻撃能力を持つ融合モンスター《冥界龍 ドラゴネクロ》、ランク3×3の貴重な新戦力《トライエッジ・リヴァイア》、変わった発動条件で強力な効果を持つ《墓地墓地の恨み》らが収録されました。

レベル・ランクの高いモンスターは派手な効果と高い攻撃力を持つものが多く、カジュアルで好んで使用されるモンスターも相当数存在するためそれらをプッシュする今回のPREMIUM PACKはカジュアルプレイヤーにとっては嬉しい一品でした。

 

■2014年1月11日 GOLD SERIES 2014発売

f:id:leooooo_amemiya:20140612210604j:plain

年が明けて間もなく「GOLD SERIES 2014」が発売。

今回で終わりを迎えるというこちらのパックのポスターを飾るのは3枚の「神のカード」である《オシリスの天空竜》《オベリスク巨神兵》《ラーの翼神竜》です。

OCGとして登場した際の高橋和希氏描きおろしイラストのものと異なり、原作のイラストをそのまま使用しての再録となりました。

しかもシークレットレア仕様という豪勢っぷりですが、封入操作がされていたようでショップでのシングル価格も高騰気味でした。

また、GOLD SERIESとしては異例の新規カードが3種収録。

いずれもアニメにおいて初登場したカードで、《ドラゴン・目覚めの戦慄》《サイバネティック・フュージョン・サポート》《強化蘇生》の3枚です。

《ドラゴン・目覚めの戦慄》は特定条件のドラゴン族2枚をサーチすることができます。

対応するカードは多くないものの、今までサーチが難しかったいくつかのドラゴン族モンスターにとってはよい救済措置と言えます。

《サイバネティック・フュージョン・サポート》はライフ半分と引き換えに、機械族の融合召喚をする際に一度だけ融合素材を手札、場、墓地から除外することで賄うことができるようになります。

《極戦機王ヴァルバロイド》《キメラテック・オーバー・ドラゴン》等の大量の融合素材を必要とする機械族モンスターには嬉しい効果です。

融合モンスターによっては融合素材代用モンスターも問題なく使用できるため、《沼地の魔神王》から《融合》をサーチしてこのカードを使用すれば、墓地リソースのみで《古代の機械究極巨人》等の融合召喚が行えます。

《強化蘇生》はレベル4以下のモンスターのレベルと攻守を上昇させて蘇生できるカードです。

レベルが上がれば当然シンクロやエクシーズ素材とする場合に変化が現れるので、今まで狙いにくかったものが行えるようになる等、その有用性は大きいです。

特に《フォーミュラ・シンクロン》《スチーム・シンクロン》らの相手ターンにシンクロ召喚を行える効果を持つモンスターとの相性は語るまでもないでしょう。

ただ、逆にレベルが上昇するせいで狙っていたシンクロ・エクシーズを阻害する可能性もゼロではないので、デッキ構築の時点からある程度意識しておくべきでしょう。

蘇生系の永続罠としては大変珍しく完全蘇生となりますが、このカードがフィールドから離れると上昇していたステータスは全て元に戻るので注意は必要です。

これら以外にも《魔界発現世行きデスガイド》《E・HERO プリズマー》《禁じられた聖槍》各種「征竜」など、日本語版カードが高額で入手しづらかったカードが多数再録され、カジュアルでもそれらのカードを金銭的事情に左右されること無く利用できるようになりました。

まさにGOLD SERIESの集大成を飾るに相応しいパックであったといえます。

 

■2014年2月1日 リミットレギュレーション改訂

前回は何も音沙汰のなかったリミットレギュレーション改訂です。

9月から数えても例年より1ヶ月早い改訂であるため、「もうそんな時期か」という声もちらほら見かけました。

では、今回の変更内容です。

・禁止カード

《異次元からの帰還》

制限カード

《E・HERO バブルマン》《海皇の竜騎隊》《ヴェルズ・オピオン》《七星の宝刀》《封印の黄金櫃》《デビル・フランケン》

準制限カード

《焔征竜-ブラスター》《巌征竜-レドックス》《瀑征竜-タイダル》《嵐征竜-テンペストオネスト》《ゾンビキャリア》《ローンファイア・ブロッサム》

・制限解除カード

《剣闘獣ベストロウリィ》《神秘の代行者 アース》《デブリ・ドラゴン》《N・グラン・モール》《冥府の使者ゴーズ》《ライオウ》

 

規制強化されたカードの大半が【征竜】の関連カードという中々思い切った改訂でした。

特に、かつて制限だった《封印の黄金櫃》が再び制限指定となりましたが、その理由が以前とは全く異なっているというのは中々面白いですね。

また《異次元からの帰還》が禁止カードとなりました。かつての《次元融合》の時と同様に、やはり除外からとはいえ1枚で大量のモンスターを展開できる札というのは調整が難しいところです。

禁止カードからの復帰組は、かつて1ターンキルで一世を風靡した《デビル・フランケン》です。

手札誘発の増加に伴う1ターンキルの安定性の低下や、実質的にデュエル中1回となる高いライフコスト、自身のステータスの低さ等が理由でしょうか。

一方で《ギアギガント X》からのサーチ等、カードプールの増加による恩恵も大きいため、どのような活躍をしてくれるかに期待がかかります。

その他の制限強化は《E・HERO バブルマン》《海皇の竜騎隊》《ヴェルズ・オピオン》です。

《E・HERO バブルマン》は強力な戦士族エクシーズモンスターの有力な素材であったため、《海皇の竜騎隊》は【水精鱗】におけるエンジンとして有益であったため、《ヴェルズ・オピオン》は【ヴェルズ】のエースとして長らく環境に入り込み続けたための規制強化です。

特に《E・HERO バブルマン》はカジュアルでも好んで使用されるカードであったため、これがどのような影響を及ぼすのか注目です。

制限からの緩和組は《オネスト》《ゾンビキャリア》《ローンファイア・ブロッサム》です。

いずれも【光属性】【アンデット族】【植物族】のキーカードといっても過言ではないカードであるため、活躍に期待がかかります。

特に《ゾンビキャリア》はチューナーとしてこれを指定するシンクロモンスターが存在するので、それらを使うカジュアルプレイヤーにとってはまさに嬉しい緩和です。

制限解除カードはどれも過去の改訂で制限から準制限に緩和されていたカードで、一旦準制限で様子を見られた後に解除しても差し支えのない環境であると判断されたためでしょう。

近年のリミットレギュレーション改訂は以前と比べて制限カードの緩和に寛容になっており、様々なカードが入り乱れるカジュアル環境にとっても更なる多様化に繋がる大変喜ばしい事だと思います。

 

■ 2014年2月4日 遊戯王ZEXAL6巻発売

f:id:leooooo_amemiya:20140612232320j:plain

漫画遊戯王ZEXAL6巻に付属したのが《No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング》です。

素材を1つ消費することで守備力と攻撃力がターン終了時まで入れ替わる効果、攻撃した場合守備表示になる効果、素材がない状態で攻撃を受けると攻撃表示になる効果の3つを持ちます。

遂に汎用ランク4エクシーズに単体で攻撃力3000に到達できるモンスターが登場しました。

今まで汎用ランク4の最大値は長らく《ジェムナイト・パール》の2600だったため、2700~3000のモンスターに攻撃力で対抗することができるようになりました。

攻撃力の上昇はエンドフェイズまでですが、攻撃すると守備表示になるため返しのターンを守備力3000で迎えることができるためアフターケアもバッチリです。

ただ素材がない場合に攻撃を受けると攻撃表示となるため、効果を使いきった後に壁として起き続ける事ができないだけではなく、直接攻撃と同等のダメージを受ける事になり、更には戦闘破壊をトリガーとする効果の的にされやすいというデメリットもありますが、除去が容易なこのゲームで2回効果を使用できる事自体が少ないため気にすることはあまりないでしょう。

むしろ、攻撃力3000で2ターン殴った後1回だけ守備力3000の壁となれるのですから召喚の容易さから見れば破格であると言えます。

効果や攻撃を無効にされると攻撃力0でターンを終える事になるため、それらに最大限の注意を払いましょう。

 

■2014年2月15日 PRIMAL ORIGIN発売

f:id:leooooo_amemiya:20140612221331j:plain

 

遊戯王ZEXAL、そしてエクシーズ召喚環境のラストを飾るエキスパンション、「PRIMAL ORIGIN」です。

発売日当日は関東地方は雪に見舞われ、交通機関の大幅な遅延や運休などトラブルが相次ぎましたが、それがパックの売れ行きにどの程度の影響が現れたのかは少々気になるところではあります。

私も当日は池袋に趣き遊戯王をしたのですが、友人4名のうち2名が交通機関トラブルにより来られなくなり、私ともう1人は帰り際に山手線の運行停止により、池袋駅から新宿駅まで徒歩で移動する事になる等自業自得ではありますが大変な目に遭いました。

そんな話はさておき、今回のパックのパッケージを飾るのは、《銀河眼の光子龍》の進化系であり、「No.」の名を手に入れたエクシーズモンスター《No.62 銀河眼の光子竜皇》です。

汎用ランク8では最高の4000の攻撃力に加え、素材を使うことで実質5600まで攻撃力が上昇する能力を持ち、攻撃力で負けることは滅多にないでしょう。

また、《銀河眼の光子竜》を素材としている場合、相手の効果によって破壊されると2回目の自分のスタンバイフェイズに攻撃力を倍にして特殊召喚されます。

自己蘇生効果としては珍しく、《奈落の落とし穴》等により破壊して除外された場合にも戻ってくることができます。

高い攻撃力から戦闘での破壊も難しく、相手に破壊以外の除去手段を消費させることを強いることができます。

しかし、デメリットとして《銀河眼の光子竜》を素材として持たない場合、相手に与える戦闘ダメージが半分となります。

このカードしかフィールドに存在しない場合は直接攻撃でも与えるダメージは2800と《神竜騎士フェルグラント》と同数値しか出せないため、《銀河眼の光子竜》を搭載しないデッキで運用する場合は専ら高攻撃力モンスターに対抗する時となるでしょう。

《ハードアームドラゴン》の耐性を得た《オベリスク巨神兵》のようなモンスターを突破する手段としてエクストラデッキに用意しておいて損はありません。

逆に《銀河眼の光子竜》を使うデッキであれば、自己蘇生効果も相まって高いフィニッシュ能力を発揮します。

例えば《No.101 S・H・Ark Knight》に対して効果を使用して攻撃すれば、相手に与える戦闘ダメージは4300と初期ライフの半分を上回るため、事前にある程度のビートダウンを行っているのであれば一気にゲームエンドまで持ち込める事も少なくないでしょう。

新規カテゴリとしては「アーティファクト」が登場。

今までも類似モンスターがいくつか存在した、「手札から魔法・罠ゾーンにセットできる」効果を共通して持つカテゴリです。

また、魔法・罠ゾーンにセットされている場合、「相手ターンに破壊されると墓地から蘇生する」共通効果、相手ターンに特殊召喚された場合に発動できる各種の効果の計3つを基本的に所持します。

中でも強力なのが、相手フィールドの表側表示カードを対象を取らずに破壊できる《アーティファクト-モラルタ》と、デッキから「アーティファクト」1体を特殊召喚できる罠《アーティファクトの神智》です。

その汎用性の高さや、《アーティファクト-モラルタ》が手札に来てもセットすることでブラフとして使えるため死に札にならない等、活躍の場は「アーティファクト」のみに留まりません。

シンクロ・エクシーズの素材としても有益であるレベル5のカテゴリである事もポイントでしょう。

また、今回は「マドルチェ」「スクラップ」「暗黒界」「コアキメイル」「ガスタ」「幻獣機」「陽炎獣」「エヴォルド・エヴォルダー」等、今まで登場して一旦強化が終了した既存カテゴリの多くに新たに新規カードが登場するという珍しい事が行われました。

中でも強力なのが、《ガスタの神裔 ピリカ》《マドルチェ・エンジェリー》《コアキメイルの金剛核》《進化の特異点》らです。

《ガスタの神裔 ピリカ》は召喚・特殊召喚時に墓地の風属性チューナーを釣り上げる、ある種おなじみの効果を持つモンスターですが、召喚と特殊召喚の両方に対応している稀有な存在です。

サイキック族レベル3であるため《緊急テレポート》によるデッキ・手札からの特殊召喚にも対応しているため、風属性チューナーを採用しているデッキならある程度気軽に採用できます。

効果を使用した場合、そのターンは風属性モンスター以外を特殊召喚できなくなる誓約があるためシンクロ・エクシーズ先のモンスターがある程度限られてしまう一面も持ちますが、著しく困るほど風属性シンクロ・エクシーズは数が乏しいわけでもないため、メインデッキやエクストラデッキと相談すれば活躍の場は広いでしょう。

特に《ダイガスタ・スフィアード》をシンクロ召喚して墓地のこのカードをサルベージする流れは単純ながら強力です。

《マドルチェ・エンジェリー》は自身をリリースしてデッキから「マドルチェ」1体を特殊召喚できます。

この効果でリクルートしたモンスターは戦闘耐性と次の自分のターン終了時にデッキに戻るデメリットが課せられますが、シンクロやエクシーズの素材とすればこちらを気にする必要は余りないでしょう。

このカードの重要な点は、デッキから《マドルチェ・ホーットケーキ》を特殊召喚しつつ、自身はリリースで墓地に送られるため起動効果を即座に使用できる所にあります。

今まで序盤の展開に難のあったマドルチェの初速をアップさせる頼もしい存在です。

《コアキメイルの金剛核》はデッキの「コアキメイル」を万能にサーチすることができる通常魔法です。

単純な安定性の向上に貢献するのもさることながら、墓地のこのカードを除外することで「このターン自分の場のコアキメイルモンスターは破壊されない」という効果を使用することができます。

近年の遊戯王はテキストの明文化が進められているため、「破壊されない」とだけ書かれたテキストは少々珍しいですが、これには「コアキメイルのエンドフェイズの自壊効果は維持コスト不払いによるものであるためカード効果による破壊として扱われない」というルールが密接に関わっています。

この自壊に対応させるためにこのようなテキストになっているというわけですね。

勿論、戦闘とカード効果での破壊もされず、この効果使用後に場に出た「コアキメイル」も破壊されなくなるため、《コアキメイル・ウルナイト》を起点とした展開の前に使用することで《激流葬》や《奈落の落とし穴》を回避することが可能です。

ターン1度の発動制限等も一切なく、更には《コアキメイル・クルセイダー》の効果で墓地から回収することもできるため、既存の「コアキメイル」サポートとは一線を画する性能であります。

《進化の特異点》は墓地の「エヴォルド」「エヴォルダー」それぞれ1体ずつを素材として、エクストラデッキから「エヴォルカイザー」1体を特殊召喚できます。

「エヴォルカイザー」はいずれも素材に縛りがあり、特に《エヴォルカイザー・ソルデ》はレベルの関係からもエクシーズ召喚することが難しい一方、いずれのモンスターも非常に強力な効果を持つためこれらを1枚で展開できる非常に強力なカードです。

罠であるため即効性は欠けるものの、発動条件である「エヴォルド」「エヴォルダー」が墓地に存在する事をクリアしていればフリーチェーンであるため、相手の《死者蘇生》を見てから《エヴォルカイザー・ソルデ》や《エヴォルカイザー・ドルカ》を出す等もでき奇襲性はとても高いです。

そして、《No.62 銀河眼の光子竜皇》と並ぶもう1つの目玉は、アニメ「遊戯王ZEXAL」において主人公・九十九遊馬の戦う敵「バリアン」の面々が使用する「RUM」《RUM-七皇の剣》です。

「ドローフェイズ時に通常ドローしたこのカードを相手に公開し続ける事で、メイン1開始時に発動できる」という類を見ないテキストを持ちます。

このため初期手札に存在するだけで発動が絶望的になり、デュエル中も狙って発動することが困難である分、効果は非常に強力です。

エクストラデッキまたは墓地から「No.101~No.107」のいずれかの数字を持つエクシーズモンスターを特殊召喚し、それを素材にエクストラデッキから対応する数字の「CNo.」をエクシーズ召喚することができます。

先に登場した《CNo.101 S・H・Dark Knight》や今回登場した《CNo.107 超銀河眼の時空龍》等の強力なモンスターをこれ1枚で呼び出すことができる、まさに逆転の切り札と言えるカードでしょう。

アニメでの登場後、その強力な効果からOCG化の際にどの程度の調整が加えられるかが話題となっていましたが、アニメ効果を極力再現しつつオーバーパワーとならない程度の大変バランスのよい調整が行われ、アニメファンを沸かせました。

これら以外にも「森羅」のドローソースである《森羅の施し》、《No.107 銀河眼の時空竜》の必殺技カードであり、強力な無効化効果を持つカウンター罠タキオン・トランスミグレイション》、墓地からエクシーズ召喚を行える《ゲイザー・シャーク》、ワールドプレミア枠からは「ガガガ」「ギャラクシー」らのアドバンテージ源となりうる《ガガガシスター》《銀河戦士》など、様々なカテゴリ・デッキが満遍なく強化され、エクシーズ環境の最後を飾るに相応しい内容のパックでした。

カジュアル環境においても、大会環境のデッキと対等に戦えるほどの潜在能力を獲得したデッキも多く、強さという意味でも多様性という意味でもカジュアル環境に大きく貢献したパックです。

 

■2014年2月21日 Vジャンプ2014年4月号発売

f:id:leooooo_amemiya:20140612233410j:plain

エクシーズ環境最後のVジャンプ付属カード《幻想の黒魔導師》です。

魔法使い・ランク6エクシーズの上に重ねる事ができるルール効果、素材1つを消費して手札・デッキからバニラ魔法使い族を特殊召喚する効果、バニラ魔法使い族の攻撃宣言時に相手フィールド上のカード1枚を除外できる効果を持ちます。

魔法使い・ランク6はいずれも魔法使い・レベル6モンスター2体を素材とする必要があるため、この効果で特殊召喚できる事自体がそう多くないのがネックですが、《マジマジ☆マジシャンギャル》の効果使用後にこのカードを重ねれば、相手モンスターを奪った上で更に展開ができるためあって損はないでしょう。

単純にレベル7×2から出すこともできるため、デッキに合った方法を選ぶことができます。

効果を使用するためには魔法使い族バニラをデッキに投入する必要があるため、デッキ構築の時点である程度このカードを出すことを意識する必要があるでしょう。

それだけあって《コスモクイーン》《ブラック・マジシャン》等の攻撃力の高いモンスターを展開した上で相手の場のカードを除外できるため、手間に見合った価値はあるといえるでしょう。

相手モンスターが1体であれば、攻撃宣言時にそのモンスターを除外、攻撃対象の変更による直接攻撃を行うことで、《バトルフェーダー》《速攻のかかし》などを回避しつつ相手にダメージを与えることが可能です。

このカードを使うのであれば是非覚えておいて欲しい方法ですね。

 

■2014年3月4日 遊戯王5D's 7巻発売

f:id:leooooo_amemiya:20140328213853j:plain

 

漫画5D’s付属からは、アニメ5D’sのメインを飾るドラゴン族モンスターのリメイク版である「決闘龍」の最後の1体《月華竜 ブラック・ローズ》が登場しました。

自身の特殊召喚時及び相手の場にレベル5以上のモンスターが特殊召喚された時に強制発動し、相手の特殊召喚されたモンスター1体をバウンスすることができます。

相手がレベル5以上のモンスターを使用するデッキではなくても1回は能力を使用できるため、《デブリ・ドラゴン》などから出すモンスターの選択肢としては有力でしょう。

サイバー・ドラゴン》等のコストが必要ない特殊召喚に対しては無駄に効果を発動してしまう一方で、《簡易融合》などから展開を行うデッキや、低レベルモンスター同士でシンクロ召喚を行うデッキに対しては強烈に刺さります。

《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》《リビングデッドの呼び声》らから蘇生してもバウンスできるので、デッキによっては何度も仕事ができます。

光属性であるので《オネスト》等にも対応しており、これを主体としたデッキも考えられるでしょう。

 

■2014年3月8日 決闘王の記憶 - 決闘者の王国編発売

f:id:leooooo_amemiya:20140612235125j:plain

 

こちらが、エクシーズ環境最後の遊戯王OCG商品となります。

これは原作「遊☆戯☆王」において、主人公の武藤遊戯とデュエルモンスターズの製作者ペガサス・J・クロフォードの対決を描く「決闘者の王国編」(デュエリスト・キングダム編と読みます)において遊戯が使用したデッキを再現したセットとなっています。

内容は構築済みデッキ41枚にオリジナルスリーブとケースが付属したものですが、新規の特典カードとして《超電磁タートル》が登場しました。

《ネクロ・ガードナー》のように墓地から除外することでバトルフェイズを終了することができ、種族・属性・ステータスにも大変恵まれたカードです。

あちらと違いバトルフェイズにしか効果が使えず、デュエル中1度しか使用できませんが、バトルフェイズ自体を終了できるため、相手の攻撃を凌ぐには十分な性能でしょう。

「ライトロード」などの墓地肥やしを自然に行えるデッキや、【ガジェット】で《ギアギガント X》からサーチして《ブリキンギョ》と共にエクシーズできたりと使い勝手は良好です。

この商品は生産数自体が少ないらしく、発売当初からシングル価格も結構なものとなっていました。

約2ヶ月後に登場したパックによってシングル価格が更に上がることとなりますが、それはまた別のお話。

 

 

あとがき

以上で、エクシーズ召喚環境開始から終了までに登場した主要なカードと制限改を全て紹介致しました。

これ以降は、3月18日に「STARTER DECK 2014」が発売すると共に、遊戯王ゼアルオフィシャルカードゲームが遊戯王アークファイブオフィシャルカードゲームに改められ、新たに登場した概念である「ペンデュラム召喚」環境へと移行していきます。

エクシーズ召喚はシンクロ召喚以上に既存の遊戯王との相性が良く、様々なデッキに組み込めるものであったため、多くの既存デッキに救済や新たなエースの登場をもたらすと同時に、今まで以上に「レベル」というステータスが重要視され、「レベルを変更する」効果などの価値が高まってきました。

エクシーズ登場当初から考えると、現在のカジュアル環境は本当に様々なカードが活躍し、魅力溢れるシナジーやコンボが日夜発見され、SNSの普及などにより多くの人にそれが共有されております。

ペンデュラム召喚によって更なるカジュアル環境の多様化と、魅力溢れるデュエル展開が行えるようになる事を期待したいですね。

本記事によって、少しでもエクシーズ環境でのカジュアル・デュエルの移り変わりが、当時を知っているプレイヤーにも知らないプレイヤーにも伝われば、本記事を執筆した意義があったと言えます。

特に当時を知っているプレイヤーは、当時を思い出しながら、その時に自分がどのようなデッキを使い、どのような思想で遊戯王をプレイしていたのか、今のご自身と比較してみるのもよいのではないでしょうか。

 

また、余談ではありますが、今月中にデュエル動画を1本撮影する事となりました。

無事に公開まで至ることができたら、私がデュエル動画について日頃考えている事について、少しでもそこで発信していきたいと考えておりますので、興味のある方は投稿をお待ち頂ければ幸いです。

これからもCasual Duel Considerationと私レオオオオオを宜しくお願い申し上げます。

今回は後書きを書く体力も余り残っていないので、大変申し訳ありませんがこれにて失礼致します。

それでは。